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第4回 決定的瞬間を管理する

サービスが売り物の時代
時代はお客さまの満足度の変化と共にサービスも進化し、そしてそれを表現する店長のマネジメントも進化している。
それはサービスが商品化し、サービスの良し悪しでお店の評判が決まり、それが次回の来店に結び付く決定的な要因の一つになってきているためである。
そのサービスが売り物の時代になってきたということは、逆に言うと、サービスが悪いことでお客さまが減るということでもある。
現に、クレームの約7~8割はサービスに関するクレームのはずである。
自店舗のデータを調べてみれば直ぐに分かることである。
勿論、サービス以外のことも重要であるが、サービスも売り物の時代になってきたということである。
つまり直接的に人が関わる仕事で、お客さまが満足もし、逆に不満にも思うのである。
私はよく「お客さまが増えないことを心配する前に、自分達でお客さまを減らしている心配をせよ!」と言っている。
そういった意味では、サービスが売り物の時代と言うよりも、逆にサービスが満足にできないと売上不振になる時代でもある。
当然であるが、お客さまの動きに合わせて我々は働くのであって、我々の都合に合わせてお客さまが店を利用するのではない。
しかし、こんな基本的なことが出来ていない店が実に多い。
だから、売上高の機会損失が発生し、更に不人気の蓄積になっているのである。
これでは繁盛店への道など歩めるはずがない。
これは、サービスに関しては概念的なことが中心になっているためであり、お客さまは神様です!的なお念仏を唱えることが店長の仕事になっているからである。
勿論、仕事に対する考え方やマインドはなにより重要であるが、そのことを具体的な形としてサービスオペレーションで表現することはもっと重要なことである。
これがサービス・マネジメントである。
私はよくいろいろな場所を見ては、「ここにはマネジメントがある」「ここにはマネジメントがない」と言うが、それは働いている人達が仕事の目的を自分の仕事の役割で表現できており、お客さまの満足を得るオペレーションになっているかどうかで判断している。つまり、仕事に対する考え方やマインドを、従業員一人ひとりが仕事で表現することでお客さまの満足を得ることができているか否かである。
だから、いくら「お客さまは神様です!」と掛け声を繰り返しても、そこにマネジメントがなければ良いオペレーションは出来ないのである。
そのサービス・マネジメントとは、オペレーションの仕組みづくりと、そこで働く人づくりのことを言う。
そこで今回は、品質(Quality)・接客(Service)・清潔(Cleanliness)・雰囲気(Atmosphere)という店長マネジメントの中核であるオペレーションの中でも、特にお客さまと直接的な仕事である接客(Service)について述べることにする。

サービスをマネジメントする
当然であるが、全てのお店やホテルに来られるお客さまには、入店から退店までの流れがある。そのお客さまの入店から退店までの流れに対して、提供する一つの仕事がサービスになってくる。その仕事を全て一人でやっているところもあるかもしれないが、普通は、その仕事を働くみんなで分担しながら行う。
つまり、全てのお客さまに満足して頂くために、仕事を効率よく分担するのである。
それにはスロータイム時の仕事の分担の方法もあれば、勿論ピークタイム時の仕事の分担の方法もある。大切なことは、何時いかなる時も、お客さまの動きに合わせて十分に納得いただけるサービスを提供してこそ、真のお客さまの満足を得ることが出来ると言うことである。サービスをマネジメントするとはそう言うことである。
しかしピークタイムになると、当然のようにお店が混乱し、気付くと自分達の都合で働いてしまっている店が沢山ある。
常に良いオペレーションをしてこそ、サービス・マネジメントである。
その良いオペレーションとは、ピークタイムであろうがスロータイムであろうが関係なく、お客さまの動きに合わせて自分達が働いている状態のことである。
ホテルでも同じことが言える。
特にチェックアウトの時などは、お客さまが集中するので当然のようにお客さまをお待たせしているが、これも良いオペレーションとは言えないのである。
良いオペレーションとは、お客さまの都合で考えたお客さまの満足のことである。
つまりお客さまの流れに対応したオペレーションが出来ることである。
そのための仕組みづくりが、仕事の分担になってくる。
そうすると、お客さまの数と流れに合わせた従業員の数と、仕事の配置が細かく明記されなくてはならない。
サービスオペレーションとは、そんな仕事の分担の仕組みが基本となったお客さまの満足を得る仕組みと人づくりのことである。
その仕事の分担の仕組みと、働く一人ひとりのパフォーマンスレベルによって、お客さまの満足度と生産性が決定するのである。
ここで必要になってくるのが、作業と数値を論理的に考えることである。
つまり、オペレーションを見直し、新たにオペレーションを構築することで各経営数値を変えるのである。
最終的には、それがお客さまの満足になり、結果としての売上高と利益になってくるのである。では、具体的にサービスをマネジメントするためには、何をどう見直し、どう構築するかである。


お客さまの流れを止めない

物づくりの考え方の一つに、流れ生産というものがあるが、これは何も流れ作業のことではない。流れるように仕事をすることで、より質の高い商品と、今までよりも高い生産性を上げるための物づくりの考え方である。
だから常に働くラインの見直しを行っている。
ラインを見直すことで、製品の質と働く生産性を上げるのである。
我々の場合も全く同じである。
それは、お客さまの数と流れに合わせて、働く人の数と職場の配置を考えるとこである。勿論、仕事の内容も重要である。
これによって仕事の質と生産性が決まる。
我々の場合であれば、お客さまの流れを止めないように、受け手の我々が流れるように作業をすることで、より質の高いサービスの提供と、生産性の向上を実現するというものである。
流れ作業と誤解されると困るので、「お客さまをお待たせないサービス」と表現する。
これがサービスをマネジメントする第1ステップである。
この「お客さまをお待たせしないサービス」ができてくると、現在の売上高に関する機会損失がなくなってくる。
それでは、この「お客さまをお待たせしないサービス」について説明する。
施設によって多少の違いはあるが、レストランの場合であれば、お客さまが入店してきたら、
1) お客さまをお迎えし、お席にご案内する。そして
2) お客さまの注文が決まったら注文を伺い、次に
3) お客さまの料理が出来たら、その料理を提供し、
4) 最後はお客さまの会計をし、そしてお客さまをお見送りする。
これが一般的なお客さまの流れと我々の仕事であろう。
この4つの作業を、全てのお客さまにお待たせしないで、そして確実にもれなく、しかも効率よく行うことがサービスオペレーションの基本になってくる。
ホテルの場合も、同様な流れがあるはずである。
1) お客さまが来店されたら、お客さまをお迎えし、次に
2) チェックインの手続きをしてもらい、そして
3) お部屋までご案内し、館内等の説明をし、
4) 最後はチェックアウトの手続きをし、そしてお客さまをお見送りする。
これも一般的なお客さまの流れと我々の仕事であろう。
これは簡単に、お客さまの動きに対して、我々サイドがするべき仕事を整理したものである。大きく分けるとたった4つの仕事である。
 たった4つのことであるが、全てのお客さまに、この4つのことをお待たせしないで、そして確実にもれなく、しかも効率よく出来ることが重要である。
これがサービスの第1ステップである「お待たせしないサービス」である。
しかし、この4つのお待たせしないサービスが出来ているところが実に少ない。
特にピークタイムにこの4つの視点で店を観察すると、実に多くの問題点を発見できるので試してみるとよい。
サービスを抽象論で語るのではなく、お客さまの動きと、それに対応して働く従業員の動きで問題を発見し解決してゆくのである。
そこで考えたのが、この4つのサービスポイントをマネジメントすることで、より質の高いサービスを実現しながら、生産性を高めるための仕事の分担のしくみと、そしてそこで働く人づくりである。

4つのサービスポイントを管理する
先ずは、この4つのサービスポイントを全てのお客さまに、確実にもれなく、しかも効率よく行うためのマネジメントである。
この4つのサービスポイントでスムーズな接客が出来るか否かで、お客さまのお店に対する評価が決まる。
もし年間に20万人のお客さまが来店されているとしたら、その4倍に当たる80万回のサービスポイントでお客さまがお店を評価している。
そうすると、この4つのサービスポイントをいかにして管理し、そして内容の充実を図るかである。
オペレーションの仕組みづくりでは、この4つのサービスポイントをいかにしてお待たせしないで、それでいて確実にもれなく、しかも効率良く行えるかを考えるのである。
つまり、全ての時間帯でお客さまをお待たせすることなくご案内し、
そして、全ての時間帯でお客さまの注文をお待たせすることなく伺い、
さらに、全ての時間帯でお客さまの料理をお待たせしないで提供し、
最後に、全ての時間帯でお客さまの会計でお待たせしないことである。
このオペレーションがまずは出来るようになることである。
この仕組みづくりのことを、「仕事の分業」と言っている。
Q・S・C・Aの状態を文書で表現したものが、状態のスタンダードであり、その状態をオペレーションで表現する仕組みが分業と言うことである。
これによって、4つのサービスポイントでのお待たせしないサービスができてくるのである。この仕事の分業は、物づくりで言うライン化であり、その見直しは毎月でも毎週でも、毎日でも良い。
簡単なものを一度つくって終わりにしているから仕事が進化しないのである。
仕事とは、進化の歴史であり、改善改革の歴史でなくてはならない。
よりきめ細かく、そして、より効率良くするために考え尽くすのである。
この仕事の分業がお待たせしないサービスを実現するためのスタートである。
このお待たせしないことができて、はじめて次のステップに入ることになる。
そのステップについては次回以降で説明することにする。
先ずは、全てのお客さまにお待たせしないでサービスできるようになることで、お客さまの不満を解消するのである。

 
無形の財産の構築
確かに競争は激しいし、それに伴って業績も厳しい。とくれば、お客さまが増えないことを心配したくなる気持ちは分かるが、その前にお客さまの不満を解消しないことには何も始まらない。
実は、オペレーションの乱れによる売上高の機会損失なり、お客さまの不満による売上高の機会損失には計り知れないものがある。もし、この売上が取れていたとするならば、お客さまの増えないことを心配する必要などないかもしれない。
これが無形の財産といわれる、人気の蓄積である。
人気の蓄積によって、お客さまがあなたのお店を宣伝してくれるようになってくると、その輪はさらに広がり、繁盛店への道を歩めるようになってくるのである。
売上が不振だからと、物まね的な販促活動をして、よけいにお客さまを混乱に陥れているお店をいくつも見てきたが、そんなことを繰り返していると、そのうち不振店になってしまう。これが不人気の蓄積である。
この不人気の蓄積を、先ずは人気の蓄積に変えることが店の建て直しには必要になってくる。そのスタートが、お待たせしないサービスの実現である。
お待たせしないサービスが出来るようになったら、次のステップへと進みながらサービスを進化させ、どこにも真似のできない状態を築いてこそサービスが商品になってくるのである。
そうなってくると「あそこはサービスが良い」とお客さまから言っていただけるようになり、お店の評判が高まってくるのである。

人を育てる技術こそが店長マネジメント
店長の仕事は、部下を通じて全てのお客さまの満足を得ることにある。
だからサービスレベルをアップすることが差別化にもなり、売り物にもなってくるのである。その良いサービスを実現するためには、勿論、良いサービスができる良い人が必要になってくる。
良い人を採ることは我々の仕事にとってはなにより重要なことであるが、人が入れ代わっても同じ状態を維持継続し、更に良い状態を作り上げることはもっと重要なことである。それには、良いサービスを行ってゆくためのオペレーション技術とトレーニング技術、そしてコーチングによるコミュニケーション技術を含めた店長によるサービス・マネジメントが不可欠なのである。サービスが良くないということは、その良いサービスができる人が作れないということであり、良いサービスを行うためのオペレーション技術とトレーニング技術、そしてコーチングによるコミュニケーション技術がないということである。
店舗は、店長のマネジメント技術なくしては運営できないのである。
安定した店舗運営も、最終的には店長のマネジメント技術で決定してくるのである。

以上

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