トップページがんばれ店長週刊HOTERES:第8回 サービス・マネジメントPart1

第8回 サービス・マネジメントPart1

独自性の追求
最近凝った外装や内装、それに照明や器などに力を入れているレストランが脚光を浴びている。しかし果たして本当に価値があり、お客さまの2度目・3度目のご来店が繰り返されている店であるかどうかと考えるとはなはだ疑問である。
アイデアと物まねだけでは、2年後・3年後には確実にジリ貧傾向になり、いま少しばかり入っているからと喜んでいると大変なことになる。
確かに雰囲気や気分が時流ではあるが、雰囲気と気分だけでは一時の時流だけで終わってしまう。それでも個室スタイルが人気を呼べば、各社また一斉に個室の店を増やし、外装に手作り感の雰囲気を出せば、また各社一斉に外装に手を入れる。
照明までもが暗い雰囲気が時流となると、これまた各社一斉に照明を暗くする。
最近ではファミリーレストランまでもが、夜の照明を暗くしているところも出てきている有様である。
独自性を追求するのであれば、それなりのこだわりがあってしかるべきである。
しかし現状は単なる同質化現象でしかない。
それでも、ここ1~2年は同じような店舗スタイルが確実に3倍・5倍には増えるであろう。今売れているから真似をするのであろうが、次に待っているのは、この同質化現象による同質化競争である。時代は需要より供給する側が圧倒的に多いのだから、これでは同質化現象による共倒れである。
だから圧倒的に勝ち組が少ないのである。
つまり、みんなで仲良くお客さまを分け合って、ジリ貧になっているのである。
この状況から脱皮したいのであれば、今こそ自分達らしさを追及し、そして、そのことを店で表現する力を持つことである。それが、独自性の追求であり、独自性とは、人にまねのできない物を作りあげることで自分達の真のお客さまを勝ち取ることである。
そこで今回から3回シリーズで「サービス・マネジメント」と題して、店長・支配人が出来るサービスにおける独自性の追求と、そして、そのサービスを高めることの出来るサービス・マネジメントの関係について説明する。
つまり、店の箱物ではなく、中身の勝負である。
これは店長・支配人にしか出来ない仕事であり、店長・支配人がしなくてはならない重要な仕事でもある。
実はこの店長・支配人の仕事の違いが、はっきりと結果を表わす数値に出ているのである。大変厳しい時代であるが、一生懸命な店長・支配人の人達にとっては大変素晴らしい時代である。

最後の戦いはお店
同じコンセプトのお店、つまり同じ内外装、同じ商品、そして同じ価格、さらには働く人たちが同じであったとしても、店長・支配人の仕事の進め方の違いによって、大きく売上高と利益の結果が変わる時代が到来した。
最後の戦いはお店でしか出来ない訳だし、不審店蘇生の最後の手段も、お店で働く人達の力をいかにして高めるかである。
私は何もチェーン理論を否定しているのではない。その逆である。
チェーン理論の進化した先での戦い方を言っているのである。
今回のサービス・マネジメントも、実は店長・支配人のマネジメントの基本であるQuality(品質)・Service(サービス)・Cleanliness(クレンリネス)・Atmosphere(アトモスフィア)のオペレーションの一つであるサービスの質を進化させるためのマネジメント手法である。
それは、サービスが商品化し、サービスの良し悪しで店の評判が決まり、次回の来店に結び付く決定的な要因の一つになってきたためである。
お客さまの満足度の変化と共にサービスも進化し、そしてそれをオペレーションで表現するサービス・マネジメントも進化しているのである。
そこで今回は、その店長・支配人が行うサービス・マネジメントの全体像を出来るだけ、ムリなく、ムダなく、そしてより解りやすく解説してゆきたいと考える。

普通の人が特別なサービスをする
接客やサービスにおいて、世界で最も優れていると評価されているホテルやお店は日本にもいくつかはある。ザ・リッツ・カールトン大阪もその一つだと思う。
他にも、京都の老舗といわれるお店なども気配りのレベルが極めて高い水準である。
個々人のサービスレベルもまさしくプロ中のプロと言われるタレントスペシャリストの集団である。もちろん、そこにはお客さまの情報を共有できる仕組み(ナレッジマネジメント)もある。
確かに評価に値するレベルである。しかしそのサービスは、特別なスタッフが特別なお客さまのために、そして特別な価格でおもてなしをしている。
今回お話しすることは、そんな特別なスタッフが特別なお客さまのために、特別な価格でおもてなしをする話ではなく、普通のスタッフが普通のお客さまのために、普通の価格で特別なサービスをすることである。
私の好きな会社に、ホテルチェーンのマリオット、それにウォルトディズニー、ノードストローム、マクドナルドといった会社がある。
共通する点は、多くの従業員が良いおもてなしをしていることである。
マリオットには何十万人と言う従業員が働いているが、驚くことはその何十万分の一の従業員と接したときのサービスの質の高さである。
私はその秘訣が知りたくて、何度も何度もマリオットに宿泊し、そしてヘッドクォーターに行って人事教育の人達ともディスカッションをしたものである。
同じように、ウォルトディズニーやノードストローム、それにマクドナルドにも何度も通い詰めたものである。
いつも驚かされるのは、やはり従業員の質の高さである。
これには、見えざる経営資源といわれる社風や、人を計画的に育成する階層別研修の制度等が構築されていることもあるが、人の育成はなんと言っても現場で日々行われているOn-the-Job Training(実際の仕事の中で教育訓練)と、On-the-Job Communication(実際の仕事の中での意思の疎通)である。
今回私が提唱するサービス・マネジメントとは、そんな具体的な質の向上を目指したもので、仕事を通じての教育訓練とコミュニケーションからなるものである。


サービスの質を具体的に表現する
時流もあり、最近は立派な内外装と雰囲気を持っている店が増えてはいるが、格好ばかりで中身の無い店が実に多い。
特にサービスオペレーションになると、人海戦術だけが手法とも思える状況である。
これでは、店の進化した状態にはほど遠く、退化した状態である。
それはサービスと言うと、すぐに抽象論や個人の資質に頼ったものになるためである。だから具体的にサービスの質が高くならないのである。
私はサービスが商品化したということは、そのサービスの質が具体的に明確になってきたと言うことだと考えている。
またサービスの商品化とは、お客さまに提供したそのサービスの質の良し悪しで、お店がお客さまから評価されていると言うことである。
このお客さまの評価が、来客数の前年比になり、売上高の前年比になっているのである。だから、この来客数や売上高の前年比の数値をそのお店の人気のバロメーターと呼んでいるのである。
そこでこのサービス・マネジメントでは、まずサービスの質を具体的にステップ(段階)で表現することにした。
それはサービスのステップ(段階)を具体的に表現することで、サービスのレベルを明確にするためである。
また、サービスのステップを明確にすることで、自店舗がいったいどのレベルのサービスをお客さまに提供出来ているのかを判断してもらうためであり、さらには一つ上のサービスを目指すための目標の設定をしてもらうためである。
サービスの質を高めることは大変難しいことだが、難しいからこそ独自性になり、お客さまの感動を得ることが出来るのである。
お客さまの方も消費を繰り返す中で学習し、プロフェショナル・コンシューマー(プロシューマー)と言われる消費のプロになっている。
だから、単なる改装や改修だけでは感動しないのである。そこで、中身で勝負することで、繁盛店への道を歩むのである。


サービスの6Steps
サービスの6Stepsとは、店舗でお客さまに提供しているサービスの質をステップ(段階)で明確にしたものである。レストラン評価の星の数と同じである。
つまり、ステップ1であれば、一つ星のサービスレベルということであり、ステップ3であれば、三つ星のサービスレベルということである。
そしてステップ6になれば最高の六つ星のサービスレベルということである。
このサービスのレベルが明確になると言うことは、自店舗がいったいどのレベルのサービスをお客さまに提供出来ているのかを判断できるということでもある。
抽象論から具体論へ、そして印象評価からステップ(段階)評価への移行でもある。
大変厳しい時代であるが、厳しい時代だからこそ、自店舗のサービスレベルの把握と、一つ上のサービスレベルを目指すことで成長するのである。
それでは、サービスの6Stepsについて説明することにしよう。
まずは、各ステップのテーマの理解からである。その6つのテーマとは、

Step1.アピアランスと挨拶のサービス
2.お待たせしないサービス
3.感じの良いサービス
4.状況対応サービス
5.お客さまと会話をするサービス
6.特別なお客さまへのサービスの実現である。

この6つのステップは、勿論サービスの質が進化する段階で、その順番でもある。
だからStep1のアピアランスと挨拶のサービスがまず出来なくてはならない。
このStep1が出来て、はじめて次のStep2への挑戦である。そしてStep3.4.5.6と進むことで、お客さまへ提供するサービスレベルを高め、自らの力でお客さまの満足と感動を勝ち取るのである。
それでは、具体的に一つひとつ説明してゆくことにしよう。

Step1.アピアランスと挨拶のサービス
身だしなみの悪いお店や、挨拶一つキチンと出来ていないお店が実に多い。
身だしなみや挨拶は、お客さまをおもてなしするスタートである。
その身だしなみや挨拶が出来ていないということは、お客さまをおもてなしする準備が出来ていないということである。
そこでサービス・マネジメントのスタートを、身だしなみ(アピアランス)と挨拶のサービスとしている。
ほどんどのお客さまは、お店に入った時の第一印象でお店の最初の評価をしているのである。このことを、お店の第一印象評価と言っている。
それは、
「このお店は、元気があって良いお店だね」とか
「このお店は、笑顔がとても良いお店だね」とか
「このお店は、店長の躾が良く出来ているお店だね」
とかいった具合である。
勿論、逆の第一印象評価もある。
それは、
「このお店は、暗い感じのお店だね」とか
「このお店は、だらしないお店だね」とか
「このお店は、店長の躾がなっていないお店だね」と言ったことである。
これが、お客さまのお店に対する第一印象評価である。
みなさんも、お店に行ったら必ずこんな評価をしているものと思います。
では、なぜこんな基本的なことが出来ていないのかと考えると、この身だしなみや挨拶の基準が、かなり曖昧で抽象的なことが実に多くあるからである。

例えば、キチントした身だしなみと挨拶をしようとか、化粧は感じの良い状態です。と言った具合である。
これだと、本人の価値判断基準になってしまい、結果として身だしなみ(アピアランス)や挨拶ひとつ徹底できないことになってしまうのである。
最近ではようやくアピアランスの明確な基準や挨拶の基準が出来たところも増えてきているが、それでもまだまだ抽象的な基準が実に多い。
お店の第一印象評価を高めるためには、まずはこの基準を明確に設定し、そしてその基準をみんなで守る状態を作ることである。
そのためには、アピアランスの基準は出来るだけ具体的にしなくてはならない。
例えば女性の場合であれば、髪の毛の長さや色、長い場合であればシニオンの着用、それにストッキングの色、頬紅の色、口紅の色、勿論香水やつめの長さの指定といった細かい基準まで必要である。
その他にも、ピアスや指輪などの規定が必要なお店は、そのことも明確にしなくてはならない。
男性であれば、ひげや頭髪、つめの状態、ズボンの折り目の状態、それに靴の磨き方まで明確にしなくてはならない。
もちろん男女共、制服の着用基準は明確にしなくてはならない。
大変細かいと思うかもしれないが、第一印象でお客さまがお店を評価する基準としてはごく普通のことである。
次に挨拶であるが、これもキチンとできているところが実に少ない。
そのほとんどは個人の資質任せである。
だからお店としての統一感が出ないのである。
そこで必要になってくるのが、お客さまがご来店されてから、お帰りになるまでの仕事の流れと、グリーティングの設定である。
勿論、お店のコンセプトや雰囲気よってそのグリーティングは変わってくるが、自店舗の良さを最大限に表現できるグリーティングのレベルで設定すればよい。
特に、お客さまのご来店とお帰りの2大グリーティングは、お店の人全員が表現できなくてはならない。
例えば、わが店の「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」の挨拶は、お客さまと目を合わせ、笑顔で感じよく、そして大きな声で爽やかにグリーティングする。と言った具合である。
もちろん、見本を示すことでその基準をより明確にすることが出来る。

そのステップ1でのグリーティングは、あくまでも最初の挨拶である。
今後ステップ2、ステップ3と進むにつれて、このグリーティングはどんどん進化し、最後にはお客さまをお名前でお迎えすると言った具合である。
このアピアランスと挨拶のサービスは、一見簡単なようであるが、なかなか出来ているお店も少ない。
そんなお店は、星一つもないサービスレベルと言うことになってくる。
サービスを商品化し、サービスの質を高めたいと思うのであれば、まずはこんな基本的なことからスタートしてもらいたいものである。
今回は、そのステップ1のアピアランスと挨拶について説明した。
次回は、ステップ2のお待たせしないサービスと、ステップ3の感じの良いサービスについて説明する。

以上

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