トップページがんばれ店長月刊近代食堂:第5回 スーパー店長達はお店を組織化する

第5回 スーパー店長達はお店を組織化する

店長の仕事はお店の組織化
店は店長ひとりで決まるが、当然店長ひとりでは何も出来ないし、来店して頂いた全てのお客様の満足を得ることなど不可能である。
全てのお客様に満足して頂き、良い店舗の状態を維持継続してゆくためには、店の組織化が必要になってくる。
それは店の組織化によって店舗運営が安定し、その安定した店舗運営がお客様の満足につながり、そして店の成長を可能にするからである。
その組織化の良い状態とは、店で働くみんなが力を結集して全てのお客様に満足を得る状態を作り上げることである。
それが、店の組織化というものである。
繁盛店は、一人で出来るものではないし、一人で作るものでもない。
勿論、一日で出来るわけではない。
そこには、店長が中心となった、お客様の満足を得るための組織化された努力の集団があるのである。
そんなみんなの力が結集した時に、はじめて店が繁盛するのである。
その店の組織化ができなければ、勿論、スーパー店長になることも不可能だし、繁盛店になることもないのである。
そのためには、何もかも一人でやらず、一人ひとりに仕事を分け与えることで、さらなる発展を目指さなくてはならないのである。
そこで今回は、そんなお店の組織化によって、自らをスーパー店長にし、そして店を繁盛店へと導いた店長達の組織化の対する仕事振りを明らかにしてゆきたい。

がんばれ加藤店長!Part2
今回は加藤店長から登場である。
加藤店長の店の組織化は一体どのようになっているだろうか?

五十嵐「加藤店長その後店の状態はどうですか?」

加藤店長「ハイ、いろいろありましたが身だしなみはようやく徹底できるようになってきました」

五十嵐
「それはたいしたものです」
「完全に定着したら本物になりますから、これからも気を抜かないで下さい」

加藤店長「ハイ。これからも3つの徹底する力と、4つの「や」を忘れずに良い店づくりに励んでゆきます」

五十嵐「ところで今は何に取組んでいますか?」

加藤店長
「ハイ、ようやくオペレーションに取り組み始めましたが、その肝心のオペレーションがピークタイムになるとバタバタで大変です」

五十嵐
「バタバタと言うとどんな状態ですか?」

加藤店長
「だからバタバタな状態です」

五十嵐
 「加藤店長、オペレーションを伝える時のポイントは、具体的に現象に即した言葉で表現しなくては判りません」

加藤店長
「現象に即した表現と言いますと」

五十嵐
「例えば、ピークになると後片付けが出来なくなり、次のお客さまがご案内出来ない状態だとか、配膳が溜まってしまって折角の料理が冷めてしまうと言うことです」
「バタバタでは何が問題で、その問題の原因はどこにあるのかも判らないじゃないですか?」

加藤店長
「なるほど、分かりました。現象に即した言葉で表現ですね」

五十嵐
「そうです。オペレーションは抽象論ではなく、現象をしっかりと捉えることが大切なのです」

加藤店長
「任せてください。ピーク以外だったら言えます」

五十嵐
「ピーク中についてはなぜ言えませんか?」

加藤店長
「ピーク中は、私も一生懸命に働いていますから、店がいったいどうなっているのか、はっきりとは把握していません」

五十嵐
「それが、一番の問題ですね」
「先ずは、自分の店のオペレーションの状態を正しく把握し、問題点を洗い出してみなくてはなりません」
「そして、そこからの対策案を考え、次に行動計画を作って、そして実践行動です」
「今度、一日私がオペレーションを見ますから加藤店長はその日は、オペレーションの観察に専念し、自店舗の問題点を洗い出してください」

加藤店長「ありがとうございます」
「ところで、良いオペレーションをしてゆくための基本みたいなものはありますか?」

五十嵐
「勿論あります」

加藤店長
「それはどういったものですか?」

五十嵐
「みんなが一生懸命に働くことはなにより重要ですが、ただ単にみんなが一生懸命に働いたところで良いオペレーションが出来るわけではありません」
「良いオペレーションを行ってゆくためには、仕事の分担と、仕事のチームワークの仕組みが必要になってきます」
「この仕事の分担とチームワークが上手く機能してくると、オペレーションに力が付いてきて、売れる店になってきます」

加藤店長
「と言うことは、オペレーションでバタバタしなくなるということですね」

五十嵐
「バタバタではありませんが、お客様をお待たせするようなことはなくなるということです」

加藤店長
「なるほど。オペレーションは仕事の分担とチームワークの仕組みのことか」

五十嵐
「その通り。オペレーションとは、そんなお客さまの満足と、最大限の売上と最大限の利益を追及した仕組のことです」

加藤店長
「私の店でも、そんなオペレーションができますか?」

五十嵐
「勿論、今の加藤店長のやる気があれば十分に出来ます」
 「あと一つ言い忘れましたが、そのことが出来る人づくりが重要です」

加藤店長
「なるほど、分業とチームワークと人づくりですね」
「ハイ分かりました。今回はそのことに挑戦してみます」

五十嵐
「このあと詳しく説明しますから、確実にマスターしてください」
「次回また会える機会を楽しみにしています」


「がんばれ加藤店長!」
~Let's Challenge スーパー店長への道~

組織化のスタート
組織化のスタートは、お客さまの満足を得るためのオペレーションの組織化である。
それも、スロータイムからピークタイムまで、そしてモーニングタイムからナイトタイムまでの全ての時間帯で、確実なお客様の満足と効率の良い店舗運営である。
このオペレーションの組織化が出来ない限り、その他の組織化、例えばパート・アルバイトによる時間帯責任者の組織化や、販売促進チームの組織化をいかに進めても全く意味をなさい。
それは、お客さまの満足を得ることができない以上は、店としての存在価値がないからである。つまりお客さまの満足があるからこそ、その地域にとってなくてはならない店になり、そのことによって、はじめて店として成長するからである。
だからお客さまの満足を得るオペレーションの組織化がなにより重要になってくるのである。
しかし、組織化の前にしなくてはならないことがある。
それは、店の目指すQ・S・Cの状態を具体的に表現することである。
オペレーションの組織化の目的は、勿論お客さまの満足を得ることであるが、その満足を得るQ・S・Cの状態が明確でないことには、どんなオペレーションの組織化を作ったら良いのか判らないからである。
そのQ・S・Cの状態を可能にするのが、オペレーションの組織化である。
勿論、スロータイムであろうが、ピークタイムであろうが関係なくできる状態にすることである。
スロータイムであれば、良い店というのであれば、お客さまを限定してサービスするしかない。
勿論、そんな店もあるかと思うが、殆どの店はやはりピークタイムでその店の売上の多くを稼いでいるものと判断する。
そうすると、特にピークタイムにQ・S・Cのあるべき状態を実現できるオペレーションの組織化が優先されることになる。
ピークタイムと言うことは、売れる時間帯のことで、その売れる時間帯をさらに伸ばすことができれば、店は確実に繁盛になってくるということでもある。
勿論、スロータイムも重要であるが、ピークタイムのオペレーションが出来るようになってくると、そのことはさほど難しい問題ではない。
そこで今回は、特にピークタイムのオペレーションについて重点を置くことにした。

7つのサービスを同時に管理する
少の違いはあっても、どんなお店でも、お客さまの入店から退店までの流れは必ずあり、その流れに合わせて店の人達が働いているはずである。
当然であるが、お客様の動きに合わせて我々は働くのであって、我々の都合に合わせてお客様が店を利用するのではない。
しかし、こんな基本的なことが出来ていない店が実に多い。
何時も自分達の都合で働いているのである。これだから店が繁盛しない。
そんな問題を解決する上でも、Q・S・Cのあるべき状態目標を設定し、そしてそれを可能にするオペレーションの組織化をしなくてはならないのである。
ではここで、一般的なお客様が入店してからの仕事の流れを整理してみる。
お客様が来店されたら店ですることは
1)お客様をお迎えし
2)お客様をお席までご案内し
3)お客様にお冷をお出しし
4)お客様のオーダーが決まったら注文に伺い
5)そしてお客様の料理が出来たらその料理をお持ちし
6)次にお客様のお食事中のお世話とデザートのサービスをし
7)最後はお客様の会計とお見送りである
これが一般的な流れであろう。
ピークタイムには、この7つの作業が同時にいくつも発生するのである。
先ほどの加藤店長の店で、ピークタイムにオペレーションがバタバタになるというのは、この7つの作業が同時にいくつも発生した時に起こるオペレーションの乱れである。
ピークタイムには、今入店したお客様もいれば、ウエイティングの状態であればご案内を待っているお客様もいる。
また注文が決まったお客様もいれば、料理を待っているお客様もいる。そして食事が終わってデザートや飲み物を待っているお客様もいるはずである。さらには、最後の会計を待っているお客様もいる。
これらの全てのお客様に、タイミングよくサービスしてこそお客様の満足を得ることが出来るのである。
オペレーションの組織化とは、そんな全てのお客様に対する我々の仕事の仕組であり、経営効率を考えた店の運営方法である。

Q・S・Cの状態目標
ここで本題のQ・S・Cの状態目標について説明する。
Q・S・Cの状態目標を決定するということは、先ほどの7つの流れに沿って、自店舗でのお客さまに約束するQ・S・Cの状態を決定することである。
これは、ある店のお客様に対する約束事であるQ・S・Cの状態目標である。
この店では、この状態をスロータイムであろうが、例えピークタイムであろうが、全てのお客様に約束するためのオペレーションを実行しているのである。
このQ・S・Cの状態を決定することで、お客さまに対しては安心して店を利用してもらえるようにすることであり、自分達の仕事においては、仕事の基準であり、こだわりになってくるのである。毎日、その日によってお客さまにお出しする料理の味が違ったり、サービスの質や掃除の状態が違うのでは、お客様は安心して店を利用することも出来なければ、店の看板の信頼も高まることはない。
店が繁盛するということは、店の看板の信頼が高まることで、お客様が安心して利用出来る店になるということである。
そんなお客様との約束事が、Q・S・Cの状態目標である。
そのQ・S・Cの状態を、いつもできる状態にするために、オペレーションの組織化をするのである。

QSCの状態目標を可能にする仕事の分担
それが、オペレーションの組織化の基本
お客様に対するQ・S・Cの基準が決定したら、次に行なうことは、そのことを何時も出来るようにする仕事の分担である。
わたしは、この仕事の分担表のことを「来客数対職種別バランス表」と言っている。
これがあることで、来客数予測に対して必要な人数と、そして、必要な職種が明確になってくるのである。特にピークタイムは、お客様の満足と、売上の機会損失が無いように、きめ細かくその職種を設定している。
勿論、これにはそれぞれ具体的な仕事の内容と、その仕事の優先順位が明記されている必要があるが、今回は紙面の関係上割愛する。
この来客数対職種別バランス表には、スロータイムとピークタイムにおける仕事の原則がある。それは、スローのときは責任範囲が広く、ピークタイムになればなるほど責任範囲が狭くなるという原則である。  
つまり、スローの時のオーダー担当者は一人で何役もこなすが、ピークのオーダー担当者なると、オーダー専任で一つの仕事に就くことになるのということである。
これによって、特にピークタイムの全てのお客様に、Q・S・Cを確実にもれなく、提供できるようになるのである。さらには、この原則によって、我々には経営の効率アップと言うものが得られるのである。これが、来客数対職種別バランス表である。
この仕事の分担の仕組みづくりが確立してくると、はじめてオペレーションでの組織化の基本が出来てくるのである。


チームワーク
オペレーションで言うチームワークとは、単なる助け合いのことではない。
ここで言うチームワークとは、自分に与えられた仕事を全うしながらも、他の人との仕事の連携を取ることである。
全てのお客さまに確実に基準に合ったQ・S・Cを提供していくためには、単に一人ひとりが自分の責任を果たすだけでは実現できないのである。
特に、ご案内と会計、そして最後のテーブルの片付けとご案内は、職種間での仕事の連携が決め手となってくるのである。このことが、ピークタイムにおける売上の機会損失を防止すると同時に、お客様をお待たせしないことにつながるのである。
これがチームワークに対する考え方である。
この仕事の分担と、そしてチームワークの考え方が店に浸透してくると、お客様に約束しているQ・S・Cのスタンダードを実現できるようになってくるのである。
店の信頼作りにとって最も大切なことは、お客さまが安心して利用できる店作りにある。
つまり、提供する商品の品質やサービスの内容、そして、お店のクレンリネス等が、いつ来て頂いてもバラツキなく提供されている状態にすることで、お客さまの信頼を勝ち得ることにある。いつも同じ状態でお客様のお世話が出来ることが「あるべき状態」なのである。
この信頼関係が、お店を繁盛店、そして大繁盛店へと導くのである。

この分担の仕方で生産性も決まる
お客さまの流れで説明した通り、店に来店して下さった全てのお客様は必ず入店から退店までの流れのどこかにいる。
つまり、今入店のお客様もいれば、料理提供中のお客様もいる。 
また、ご注文をしたいお客様もいれば、デザートを待っているお客様もいる。
その全てのお客さまに対して、自分達の基準に合ったQ・S・Cの状態を提供することが、お客様の満足を得ることになるのである。これがオペレーションの組織化である。
このオペレーションを、確実にもれなく、しかも効率よくやることが最終的なオペレーションの組織化の目的になってくる。これが出来て、オペレーションの組織化が完成するのである。
そうすると、このオペレーションの組織化によって、実は労働生産性や、人時来客数といった経営上の数値のマネジメントもできるようになるのである。
いろんなタイプのお店があるが、原理・原則論を守りながら、店毎に対応すればさほど難しいことではない。
数値と作業を論理的に考えることで、常にお客様の満足と、そして同時に経営効率を追えるスーパー店長になってくるのである。

以上

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