ルネッサンス Renaissance
ルはフランス語で「再び」、そしてネッサンスには「誕生」という意味がある。
つまり、再び誕生すると言うことである。
ホテル&レストラン業界も、創業期・成長期、そして成熟期を経て、いま新たな展開を迎えようとしている。
市場も、競合から競争、そして競争から大競争の時代に突入している。
大競争時代とは、需要より圧倒的に供給する側が多い状態のことである。
しかし、これが本来の選べる豊かさである経済民主主義なのである。
主権は、常にお客さまにあり!である。
そうなると、お客さまに選ばれるホテル、お客さまに選ばれるお店にならなくては生き残れないと言うことである。
当然であるが、お客さまに選ばれたホテルやお店が勝ち組になり、お客さまに選ばれなかったホテルやお店が負け組みと言うことになるのである。
つまり、お客さまの満足を得ることの出来ない、ホテルやお店には存在価値がないということである。
厳しいことを言うようだけど、ホテルやお店はお客さまのために存在してこそ、その価値があるのである。
基本は、ホテルやお店はお客さまのためにあり、本部や本社はホテル・お店のためにある。ということである。
このことが、先ずは基本にないと先に進むことは出来ない。
本当の戦いは、この先である。いかにして、お客さまを満足させ切るかである。
大競争の時代は、今までのように誰がやってもある程度は成功した時代から、やる人によって結果が大きく違ってくる時代である。
そういう意味では、真にお客さまから選ばれた人だけが生き残ってゆくことになるのである。
ここで、あえて人といっているのは、同じホテル・同じお店・同じ商品・同じ価格、そして、なんとそこで働いている人が同じであっても、店長や支配人が入れ代わっただけで、売上も利益も大きく変ってしまうという現実からである。
勿論、これが全てではないが、一つの成長要因であることは確かである。
これは私の持論であるが、会社は一人のリーダーで決まると思っている。
勿論、ひとりでは何も出来ないが、リーダーひとりの力で会社を大きく変えていることは間違いない。
これは、我々ホテル&レストランの業界でも同じことが言える。
それは、店長や支配人ひとりの力で、そのホテルやお店が繁盛するかどうかが決まるということである。
何度も言うが、店長や支配人ひとりでは何も出来ないが、ホテルやお店は店長や支配人ひとりで決まるということである。
このことは、このホテル&レストラン業界に限ったことではない。全ての業界に於いて同じ現象が起きているのである。
どんなに情報技術が進もうとも、最後はやはり人で決まるのである。
特に、労働集約型のこの業界にとっては、一人ひとりの仕事振りが、そのままお客さまの満足度を決定してしまうのからである。
そこで今回の連載は、そんな店長や支配人が今の時代をどう生き抜き、そしてどのようにして日々戦っていくのかを考察するものである。
私の使命は、全国にいる店長や支配人に夢と元気を与えることで、この業界の発展に貢献することである。
大変厳しい時代であるが、努力した結果がはっきりと出る素晴らしい時代でもある。
つまり、店長や支配人の真の力が試される時代だということである。
そんな一生懸命な店長と支配人へエールを送る。
チェンジマネジメント Change Managements
当然であるが、今の時代を生き抜き、戦ってゆくためには、仕事の進め方に変化を求められている。それは、
今までと同じやり方では、もうお客さまは満足しない。
今までと同じやり方では、売上も増やすことが出来ない。
今までと同じやり方では、利益も増やすことが出来ない。
今までと同じやり方では、働く人も集まらない。
今までと同じやり方では、赤字に転落してしまう。
と言うように、今までと同じやり方では、なかなか結果が出せない、大変難しい時代になってきたということである。
そこで、時代環境が変化する中で、いかにして変化に対応できるかが、これから生き残ってゆくための基本的な姿勢になってくるのである。
連載での具体的な事例を通じて詳しく説明してゆくので、今回は変化への対応プロセスについてだけ説明する。
それは、仕事のやり方を見直し、仕事のやり方を進化や変化させ、そして市場に向かって挑戦し、結果としてお客さまの満足を勝ち得ることで、この大競争の時代での勝者になるということである。
スタートは、現状について正しく把握し、そして分析することである。
そこで、今までのやり方を一度ゼロから見直しすることが、最優先に必要になってきているのである。いろいろなことに捉われず、ゼロからのスタートである。
勿論、スタートはお客さまの満足である。
売上=来客数×客単価と表すように、売上は来客数で決まっている。
そして、その来客数は、お客さまの満足した結果で決まるのである。
だから、お客さまの満足をいかにして勝ち取るかと言うことが、全てに於いて優先されなくてはならないのである。
全ては、お客さまの満足のための見直しである。
しかし、その前に経営理念がある。
経営理念があって、経営戦略があり、そして経営戦術があるのである。
経営理念
そこで今回あえて、この経営理念について述べることにした。
経営理念は不変の経営哲学である。
それは、時代環境がどのように変化しようが、経営理念に基づいた経営戦略と経営戦術が、その企業の永遠の繁栄になるということである。
お店やホテルを預かる店長や支配人にとっても、経営理念はなにより重要である。
それは、経営理念がお店やホテルを運営する目的そのものであり、お店やホテルの存在価値であるからである。だから、現場では常に経営理念がオペレーションで実践されていなくてはならないのである。
さて、この経営理念が不変の経営哲学であるにも関わらず、業績が不振なお店やホテルは、その原因を考えなくてはならない。
例えば、経営理念に「わが社はお客さまの満足を得るお店づくりを一番に考える」、と掲げているとしよう。もし、この通りにお客さまの満足を得るお店づくりが出来ていたら、業績不振になっていないはずである。
それが、業績不振だとしたら、当然であるが、お客さまの満足を得るお店作りになっていないということである。
このような場合には、今一度、経営理念に照らし合わせた経営戦略なり経営戦術を見直ししなくてはならないと言うことである。
これが経営理念である。
だから、経営理念は不変の経営哲学になってくるのである。
しかし、会社が大きくなり、全国に店舗やホテルが出来てくると、経営理念やポリシー(政策・方針・手段)といったものが、なかなか現場では実践されにくくなっている。
その結果「儲かれば何をやっても良い」という現場の判断が、お店単位で平気で行われてしまうのである。
昨年来、こんな企業倫理に関する事件が後を絶たないが、それは、全てに優先して経営理念が浸透していない結果である。
今一度、わが社の経営理念を確認してもらいたいものである。
そこからが、今回のスタートである。
経営戦略の一番は、スタンダード
経営理念を具体的にオペレーションで表現したものがスタンダードである。
一般的にスタンダードには、品質(クオリティー)・接客(サービス)、そして掃除(クレンリネス)と言われるものがある。
私は、このスタンダードのことを、店舗やホテルの運営基準と翻訳している。
つまり、品質はこうあるべき、サービスはこうあるべき、そして掃除の状態はこうあるべき、と言うこだわりである。
店長や支配人は、このスタンダードをオペレーションと言う形で、店舗やホテルで実践し表現するのである。
ここで何故売上が不振なのかを考えてもらいたい。
大きく理由は2つある。
一つは、決められたスタンダードが店舗やホテルで表現できていないことによる、お客さまの満足度の低下が挙げられる。
今一つは、決められたスタンダードそのものが、時代の流れ(お客さまのニーズ)からかけ離れていることが挙げられる。
最初はお客さまの満足度レベルと、提供するスタンダードレベルは、スタンダードレベルが高いことによる、売上のプラス成長。
しかし、お客さまの満足度レベルが、提供するスタンダードを超えてくると、そこからは売上のマイナス成長の流れになってくる。
前年は悪い数値だから、今年は確実に前年をクリアーできると思っていても、現実はその前年すら行かないのが現実である。既にご存知だとは思うが、14年10月現在で外食産業の既存店前年比は59ヶ月マイナス成長である。
5年間前年を割り続けているというわけである。
5年間前年を割り続けると、昔繁盛店だったお店が、普通のお店になり、中には今では不振店になっているお店もあるであろう。
お店は、本来小さく生んで、大きくしていくものである。それは、その地域の人達に愛され末永くご利用していただけるからである。
小さくなっているということは、お客さまが少なくなっているということで、その地域の人達に愛されなくなってきているということである。
これには、勿論いろいろな問題が考えられるが、一番の問題は経営理念とスタンダードが一致していないことがある。
つまり、経営理念に「わが社はお客さまの満足を得るお店づくりを一番に考える」とうたっていても、実際にそれを形にしたスタンダードはお客さまの満足を得るものになっていないということである。
このことは、ホテル&レストラン全てに共通して言えることである。
スタンダードを上げてゆく手法については、これからの連載で詳しく展開して行くが、今回は簡単な事例を幾つか述べてみる。
例えば、客室にIT回線を引くこともその一つだろうし、エントランスを魅力的にするのもその一つである。店舗であれば、お店の内外装に変化を与えることで居住性を高めることもその一つになってくる。
勿論、メニューの見直しや価格の見直し、更にはポイントカードによる特典もあるであろう。
しかし、今回の連載ではそう言ったハードなことではなく、店長・支配人のマネジメントと言ったソフトな部分について展開してゆくつもりである。
レストランであれ、ホテルであれ、一昔前までは殆どは徒弟制度のような流れが強く、職人気質があり、マネジメントに関しては未だ遅れているのが現状である。
そこで、この連載ではマネジメントの基本と応用を取り入れた形を取りながら、店長・支配人達が今の時代どう生き抜き、どう戦ってゆくかを今後展開してゆく。
以上